国民皆歯科検診の義務化

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近年、ニュースなどで「国民皆歯科検診(健診)」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、すべての国民が定期的に歯科健診を受けることを目指す、国の新たな方針です。これまで「歯医者は歯が痛くなってから行くところ」と考えていた多くの人々にとって、この制度は意識を大きく変えるきっかけとなるでしょう。

実はこの制度、私たち歯科医療商社にとっても、業界の構造を大きく変える可能性を秘めた非常に重要なトピックです。この記事では、国民皆歯科検診の仕組みや義務化のスケジュール、そしてこの制度がなぜ商社にとって大きな「追い風」となるのかを詳しく解説します。

国民皆歯科検診(健診)とは?国家戦略としての予防歯科

「国民皆歯科検診」とは、その名の通り、赤ちゃんから高齢者まで「すべての国民」が定期的に歯科健診を受ける体制を整備しようという国の構想です。では、なぜ今、国を挙げて「歯」に注目しているのでしょうか。

医療費削減と健康寿命の延伸が最大の目的

この制度の背景には、急速に進む高齢化と、それに伴う医療費の増大という日本の深刻な課題があります。近年の研究で、歯周病が糖尿病や心疾患、さらには認知症といった全身の病気に深く関わっていることが明らかになってきました。
つまり、「口の中を健康に保つこと」が、全身の病気を防ぎ、結果として膨れ上がる国の医療費を削減することにつながるという経済的なエビデンス(根拠)が確立されたのです。

これまで日本では、1歳半や3歳児健診、学校での歯科健診など、子供の頃は義務として受ける機会がありましたが、大人になると、一部の「有害業務従事者(酸などを扱う仕事)」を除いて、歯科健診は個人の判断に委ねられていました。その結果、働き盛り世代の受診率が低迷し、歯周病が進行してしまうケースが後を絶ちませんでした。国民皆歯科検診は、この「空白期間」を埋め、生涯にわたって国民の健康を守ろうとする国家プロジェクトなのです。

引用元HP:厚生労働省「歯科口腔保健の推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001252538.pdf

国民皆歯科検診の「義務化」はいつから?

「義務化」という強い言葉が使われていますが、明日からすぐに強制されるわけではありません。政府が発表した「骨太の方針2022」に基づき、慎重かつ段階的な導入が進められています。

2025年を目途に進む段階的な導入

政府は、国民皆歯科健診の具体的な導入時期について「2025年頃を目途」としています。ただし、これは2025年にいきなり「健診を受けないと罰金」というような法律ができるという意味ではありません。まずは、企業が従業員に対して行う毎年の健康診断(メタボ健診など)の項目に、歯科健診をオプションとして追加することを推奨したり、自治体による健診体制を強化したりすることから始まると見られています。

実際に、一部の先進的な企業では、すでに健康経営の一環として歯科健診を導入し始めており、従業員の健康増進が生産性向上につながるという成果も出ています。「会社で年に1回、歯医者さんに行くのが当たり前」という時代が、すぐそこまで来ているのです。私たち商社としても、こうした企業の動きや法改正の動向を注視し、変化に合わせて適切なサービスを提供していく準備が必要です。

引用元HP:日本歯科医師会「国民皆歯科健診の実現に向けて」
https://www.jda.or.jp/dentist/checkup/

義務化されると何が変わる?「治療」から「予防」へ

この制度が浸透することで、日本の歯科医療のあり方は劇的に変化します。それは「Cure(治療)」から「Care(予防)」へのパラダイムシフトです。

「痛くなる前に行く」が新常識になる

これまでの日本人の多くは、「歯が痛い」「詰め物が取れた」といったトラブルが起きて初めて歯科医院を予約していました。しかし、国民皆歯科検診が導入されれば、痛みがない状態でも定期的に通院する習慣が根付きます。
歯科医院の待合室は、痛みに顔をしかめる患者さんではなく、「クリーニングでスッキリしに来た」という笑顔の来院者で溢れるようになるでしょう。

クリニック側も変化を迫られます。これまでは「削って詰める」治療技術が最優先されていましたが、これからは「病気にさせない」ための管理能力や、患者さんへの衛生指導(ブラッシング指導など)のスキルがより重要視されます。歯科衛生士の役割がこれまで以上に大きくなり、医院全体のチーム力が問われる時代になると言えます。

この制度が歯科医療商社に「追い風」になる理由

さて、ここからがビジネスの本題です。国民皆歯科検診の導入は、私たち歯科医療商社にとって、かつてない大きなビジネスチャンスとなります。その理由は大きく3つあります。

1. 圧倒的な「来院数」の増加と消耗品需要

制度によって受診が促されれば、これまで歯科医院に足を運ばなかった「潜在的な患者層」が大量にクリニックへ流入します。来院数が増えれば、当然ながら日々の診療で使用する紙コップ、エプロン、グローブ、検査用器具といった消耗品の消費スピードが上がります。
私たち商社にとっては、これら消耗品の安定供給というミッションがより重要になると同時に、「モノが継続的に動く」ストックビジネスの規模が拡大することを意味します。

2. 「予防専用エリア」など設備投資の活性化

「予防」の患者さんが増えると、従来の治療用チェアだけでは対応しきれなくなります。そのため、多くのクリニックで「メンテナンス専用ルーム」の増設や、歯石除去のためのエアフローといった予防専用機器の導入が進むと予想されます。
商社であるモリタには、「予防に力を入れたいから、院内を改装したい」「効率的に健診を回せるユニットを入れたい」といったドクターからの相談が増えています。こうした設備投資(ハード面)の提案は、商社の腕の見せ所であり、大きな売上につながる領域です。

3. データ管理システムへの新規投資

国民全員が生涯にわたって健診を受けるとなれば、その膨大なデータを管理する仕組みが必要になります。政府はPHR(Personal Health Record:個人の健康診断結果などを電子的に保存・管理する仕組み)の活用を推進しており、歯科業界でもカルテの完全デジタル化や、医科と歯科のデータ連携が進むでしょう。
最新のレセプトコンピュータや予約管理システムの導入支援など、IT・システム分野での新たなニーズも生まれており、商社の取り扱う商材の幅はますます広がっています。

Summary
業界変革の波に乗るチャンス

国民皆歯科検診(健診)は、日本の歯科医療を「治療中心」から「予防中心」へと変える大きな転換点です。それは同時に、私たち歯科医療商社にとっても市場拡大の好機となります。社会貢献性が高く、将来性のあるこの業界で、変化の最前線に立って働いてみませんか。

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